深夜、ベッドの中でグフッと思い出し笑いをした。
ものすごくめずらしく幸せな夜、隣には眠る前の山下さんがいて、突然声を出して笑い出すわたしになんだなんだと問いかけた山下さんだったけど、わたしの頭の中は、カステラのことでいっぱいだった。
「あ〜明日の朝ごはんはカステラかァ✨🥺✨」
「…平和なやつだな」
わたしの頭には、ミルクたっぷりのコーヒーを淹れて、山下がまだ寝ている間にほくほくカステラを食おうという想像だけで満たされていた。
わたしは昔から、昼ごはんに食べるものを朝からずっと考えていたり、明日の朝に食べるものを夜からずっと考えていたりするくせがあり、
その日も同じだったんだけど、実は思い出し笑いの原因はもうひとつあった。
この前、ともだちのふるさんが可愛い箱のカステラを、食い道楽の山下さんとどうぞ。と送ってくれたことがあった。
実はその頃しばらく山下さんと距離を置くと決めた時で、次にいつ会えるかわからなかった状況の中で、とりあえず私にまとめて送ってくれて、
中には3個入っている。本来であれば、一個わたしが食べて、一個山下さんが食べて、一個はたおくん。。。。
と散々悩んだ挙句、ふるさんには内緒で、結局3個とも山下さんに送ったのだった。
福砂屋という有名なカステラやさんらしくて、そんなにカステラって食べたことないけど、どんな味だったんだろうなあ〜
また今度食べる機会あったら楽しみだな〜
と思っていたら、
しばらく距離を置いてから数週間後にやってきた山下さん
「ほい」(手土産)
カステラ、キタ━━。゚+.( °∀°)゚+.゚!!
福砂屋のカステラ、まるまる一本に成長してUターン。
嬉しくて倒れるかとおもった。
。゚(゚´ω`゚)゚。
カステラも嬉しかったけど、なんていうか、めぐりめぐって戻ってきたことや、そういうことをさらっとできる山下さんにいつも感激する。
この前、青森から送られてきた大きなメロンのときも、3つとも結局人にプレゼントしたので、一口も食べれないはずだったのが
結局、帰省したときに大量に持って帰ってきてくれて、送り出したはずのメロンがなぜか戻ってきて自分の腹にたらふくおさまった。
思い出し笑いがとまらなかったわたしの頭には、金の斧、銀の斧のおはなしが流れていて、
おまえの斧は金の斧か?銀の斧かと聞かれたときに正直に、古い斧ですと答えたことで、金の斧がもらえたやつ。
みんなに美味しいものを食べてもらおうと無欲に手放した途端に、
なぜかいつも何倍にもなって自分の元に帰ってくる。
という金のカステラ、銀のメロンの話を思い浮かべてた。
嬉しくて笑いが止まらなくて、そのままニコニコで明日の朝のカステラに思いを馳せつつ、山下さんの横でカステラの夢に向かって一直線に眠りについたわたしなのだった。