陽が
ゆっくりとむこうがわまで落ちていくときに
影が
長く、長く
反対側に伸びていくみたいに
今に光があたるということは
過去が向こう側まで
もうずっと、忘れていたような向こう側まで
遠く、遠く
照らされていくみたいなもの
それは本当は
影なのに
たしかに自分のかたちをしていて
目に見ることができる
どこまでも、ついてきて
抱きしめることも
触ることも
できないのに
そこに、確かにあって
陽がそして
静かに沈みきったら
一番星がでて
影はあとかたもなく、消えてゆく
真っ暗な闇のなかで
自分の姿すらみえなくなって
かすかに月の光のなかで
自分の輪郭だけを感じて
そしてまた
朝がきて
反対側から
陽がのぼるんだよ
今度はそれは
未来を照らすんだ