
わたしが料理の道に進もうと、いつか多大な影響を受けたひとに、辰巳芳子先生という方がいる。
確か、まだアメリカに行く前のはなしで、自分が師と呼べる先生について学ぶという場所を、ホウボウ探していた頃。
みんなそれぞれ、住む場所だとか、共に生きるパートナー、仕事だとかをどこかのタイミングで決めて、そしてある期間(または一生)、そこにコミットする。
京都やら鎌倉やらをうろつき、なんとか辰巳芳子先生の弟子入りができないかと、親しくしていた某雑誌の編集長に訊ねてみたりしつつ、
本気の本気で真摯なキモチで料理の道に進むことに結局覚悟ができなかったわたしは、
なんとなくテキトーにやってても良さそうな、アメリカの玄米菜食という実にチャラチャラした道に進むのであった。
それはさておき自分の人生に後悔やら不満があるというわけではなく、それはそれで楽しく、その後も辰巳芳子先生を敬愛し続け今に至る。
ところでその先生に素晴らしさは、わたしのようなハナクソには筆舌にし難く、それは料理の域を越えている深い哲学に含まれている。
なによりも随筆家でもある先生の持つなんとも美しい文章の世界は、ため息なしには読むことができなくて、料理をまったくしていないのにもかかわらず文章を読んだだけで四季折々の自然からいただくいのちの尊さを味わっているような気持ちになる。
料理関係の本をほぼ全部処分して長い。辰巳芳子先生の著書も。
朗読の練習に、これまで原書が英語の癒しに関する実用書ばかりこれまで読んできたのだけど、
ちょっと新しい気分で違うのを読みたいなと思っていて
ふとそういえば、辰巳芳子先生の、レシピの本じゃない本を思い出した。
久々に開いて、ひとつめの話を声に出して読んでみる。
なんか、先生の清らかで厳粛な世界にそれだけで朝から心が洗われて、自分がハナクソじゃないきもちがした。
世界中に愛と癒しが行き渡り、みんなが支え合って生きてゆけますように💕



