スープを美味しく作るコツのこと

若いとき、わたしがいろんな料理をしていて、よく褒められたり上手だったのは、ドレッシングやソースの類だった。

それよりもっと若いときに、作っても作っても楽しくて研究に没頭したのはお菓子づくりだった。

若いときよりすこし年をとって、まだ若かったとき

わたしは、外国で、たくさんのスープを作った。

この世界には、みそ汁以外のスープが無限に存在していて、それは、ほかのどの料理よりも

わたしたちのこころや身体や魂を癒すことができる、魔法の料理だとおもう。

スープを作るときに。

美味しくできるときと、美味しくできないときがあって

どういうときにおいしくなって、

どういうときに、おいしくできないかな。

と振り返ってみた。

おいしいスープを作ろうとするときに、必要なのは、よいレシピじゃないとおもう。よい道具でもない。

その代わり、1番に

大事なことがひとつあって

それは、

「おいしく作ろう」と思ったかどうか。

なんだ。

ただスープを作ろうとして作ったスープは、実はあんまりおいしくできない。

ひとが作ったスープの味の調整をすることもよくあった。

なにが足りなくて、なにが多いか、すぐにわかった。

そして、おいしくつくろうとして作ったスープは、実はだれが作ってもほんとうにおいしいスープになる。

料理が下手でも、そこは全然関係なくて

おいしく作ろうと思ったスープはおいしくできて、

ただ作ったスープは本当においしくなくて、

それはすごくシンプルなコツだけど、絶対なんだな。

とそうおもう。

そして、それはそのまま人生にもいえることだ。

よい人生にしようとして生きた人生は、必ず輝いてく

どれだけ苦しい瞬間がきっと訪れても、それは変わらない

そして、ただ生きた人生は、おいしくないスープと同じになる。

そういうスープは、美味しくないし、まずくもないもんだ。

たった一杯の、なんでもないスープを

メインディッシュよりもがんばって、だいじに作るんだよ。