数年前、IKEAのヴァドホルマというシリーズのワークトップをみたとき、ひとめぼれした。
ワークトップというのは、作業する台の板のところのことを言う。
イケアにいくたびに、つぎはこれがほしいんだァ〜とつぶやきながら、無骨で頼りがいがありそうな、繊細でおしゃれなキッチンとはほどとおいその佇まいを、自分の住んでる小さな部屋にはさすがに置けないかなあ、と夢見てた。
これまで長年使ってきたワークトップも、IKEAのオークのやつで、実はこれ、3枚は買ってるくらいずっと使ってた。10年以上になると思う。アメリカにいたときも買ったし、日本へ帰国したあとも同じのを買って、引っ越してサイズ違いをまた買って。
https://www.ikea.com/jp/en/cat/kitchen-worktops-24264/
作業台というのは、単なる作業スペースなんだけど、わたしにとってはキャンバスみたいな感覚が近い。
ノートですら、紙の色や質感や厚さによって、上手に書けたり書けなかったりするので、作業台の広さや形や色や質感は、【なにかを生み出す】ときの全部の出来上がりを左右する気がするんだ。
実際、日本の賃貸の備え付けのキッチンの、銀色の部分が怖くて、😂本当に作業に支障がでまくってたので、上に板を置いて使ってるくらい。
その場所は、キャンバスであり、何かができたときにそのままゴロンと果物や食べ物を置くときの、背景になる。
イケアのワークトップは、高級な何十万とかする雰囲気のある木と違って、すごい気軽に買える値段だし、【作業台】だから、とくにファンシーさを求めてるわけじゃないので堅実であってよい、かといえ、毎日毎日そこで食卓が繰り広げられていく場所だから、おざなりにもできない。
というときにいつもそばに、ちょうどよかった。
長年つかってきたやつ。
それが覆されたあたらしい板は、同じオークだけど、デザインが違って、前のよりうんと分厚くて、自分ひとりでは運べない重さになった。
すこしだけ広くなって、前に華奢で不安定に揺れていた脚は、カウンターが下に入り安定した。
今は、この黒い棒の部分は外してるんだけど
そのうちいつか引っ越ししたら、取り付けようかな。
わたしの台所は、この先もずっとイケアのオークの板が真ん中にドンと置いてあるまま一生を過ごしそう。
慣れていて、楽で、安心する。
商品のキャッチコピーが、【人が集まる集合場所にちょうどよい、】と書いてあってすごくいいなと思った。
ここに、いつも愛する人が腹を空かせて集まってくる台所であってほしい。
長い間、おつかれさま。
その間の自分にこころからの労いをおつかれさまとありがとうを伝える、お別れの季節。