Hummus
ってのはひよこまめをペースト状にしたやつで、 ピーナツバターの次にアメリカ人が好きなたべものの1つだとおもう。
Hummusというのは、味やらレシピやら何やらの前に、まず発音がむずかしい。
ちょうどフランス語のRの音を鳴らす時にのどの奥を 震わせて、らりるれろじゃない、はははひひひふふふへへへへへへほほほほほ
っていう音(日本語にないやつ)があたまにくっつく。これ実は、アメリカ人も正確な発音ができないやつで、Hummusの発音が正確なアメリカ人とそうでないアメリカ人の違いはなにかというと、大抵はユダヤ人かそうじゃないかの違いである。
わたしがニューヨークに渡ってまず一番さいしょに連れて行かれてはじめて食べた食事が、実はHummusであった。
最初に店でこれを差し出されたとき、皿の上に大量のマヨネーズが載っていると思った。
そういう外観のHummusである。
元ジュー(前世がJewish(ユダヤ人)の意)のわたしは、アメリカというよりユダヤのコミュニティの中で育てられたので、そのHummusの発音がいちいち濁るヘブライ語が好きだった。
一般のアメリカ人はヘブライ語を喋らないので、ふつうにHummusと発音する。
スーパーには日本の豆腐売り場くらの規模くらいに、いろんなメーカーといろんな味のHummusが売ってて、あんまり自分で手作りする習慣はなくて、でも大抵のアメリカ人の冷蔵庫には必ずHummusが一個は常備されてるのである。
サンドイッチに挟んだり、にんじんスティックやら野菜にディップとしてつけたりして食べる。好きなもんを食べたい時はピーナツバターを食べ、健康になりたい気分のときはHummusを食べるのがアメリカ人である。
日本語表記だとフムスって書かれたりする。行ったことないけど、多分中東料理やさん(?)とかにいけば食べれるんじゃないかな。
ちなみにこの「フ」の音は、フとホとルとロを足して4で割った音なので、店に行って喉を震わせたら「お、こいつは日本人だが只者じゃないな」と思われるはず。
というわけで(フ+ホ+ル+ロ)÷ 4 ムス のHummusなんだけど、最近豆を物色していたところ、ひさびさにHummusが食いたいなあと思った。
アメリカかぶれでよくシアトルにもいっていた元恋人に訊ねると、Hummusを知らないという。こ、こりゃいかん。正式なアメリカかぶれとしてHummusを知らねば次回海外出張にいったときに、”Hummus?What?”という会話が繰り広げられてしまう。それじゃただの日本人だ。
ぜひともHの発音から見直して、立派なアメリカかぶれとして取引先のアメリカ人を唸らせてほしい。
慌てたわたしは、早速彼に乾物屋(KALDI)に連れて行ってもらい、まずひよこ豆を調達した。
缶詰のひよこ豆は近所のスーパーにも売っているが、もともと豆を煮る習慣があるわたしにとってどうも缶詰の豆は苦手で、乾いた豆を買ってくる。
夜眠る前に水につけて、翌朝早速豆を煮た。
アメリカにいた頃は店で料理をしていたので、Hummusを作るのは日常だったけれど、何年も作っていないのでレシピを検索して記憶を手繰り寄せようとすると、よきHummusを作るために豆の皮を剥くレシピを発見した。
Chick Pea(ひよこ豆)の皮を剥いて調理したことは一度もなかったので、(そう教わったりそうしている人も見たことがなかった)
手間はかかるが確かに皮をとったほうが美味しいHummusができそうだなあと思い、気が向いたので、この際すごい美味しいHummusを本気で作ってやろうと思い、恋人がまだ寝ている間にちまちま豆の皮を剥いた。
レシピをみると、Baking Soda(重曹)をすこし入れて煮ると、つるっと簡単に皮はむけるらしい。
今回は一個一個取ったけど、割とつるっと全部取れて気分が良く、ひよこ豆との新たな出会いな気がした。
マヨネーズが皿いっぱいに載ってる風の外見のHummusだけど、中身は
チックピー Chick Pea(ひよこ豆)、タヒニTahini(ねりごま)、オリーブオイル、Lemon Juice(レモン汁)、にんにく、塩こしょう、クミン、
これをフードプロセッサーで滑らかになるまでガーッとやる感じになる。
あとは色々、ハラペーニョ味だったり、にんにくが効いたやつだったり、いろんな味が売ってるけど、上の材料が基本。
今回豆の量が少なすぎて、我が家のフードプロセッサーはいうことを聞かなかったので、チビミキサーで攪拌した。
味見をしながら、できるかぎり正確な味を出そうと舌に染み付いてる記憶を頼りにがんばった。
なにせ、アメリカかぶれの恋人に、本物のHummusを食わせないといけない真剣勝負の朝だったのだ。
ぬるっと起きてきた彼は、朝っぱらから豆の皮を剥いているわたしをみて(朝からすげえな)といわんばかりの顔をしていた。
最後味を整えて、これが(フ+ホ+ル+ロ)÷ 4 ムスです。とぺろり、Hummusのついた指を差し出すと、「これ見たことある、シアトルのホテルの朝ごはんに出てた。ていうか食ったことある。」と言った彼だった。
そう、なにせピーナツバターの次にアメリカ人に愛されてるHummusなので、アメリカにいったことある人間であれば、知らないうちに口に入っていないほうが不思議なのだ。
よかった。これで次回彼がアメリカに渡ったときにわたしは安心して送り出せる。一応その時には発音矯正もしておこう。
というわけでこれがHummusである。
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日本のねりごまじゃなくて、Tahini(タヒニ)を使ったので、本場の味。
全然関係ないけど、なんでHummusって日本じゃ売ってないんだろうなあと考察してみた。多分日本の豆文化が関係していて、あずきとか味噌とか豆腐とかに慣れているわたしたちの舌と、豆の親戚であるチックピーのペーストは、どうも相入れないバランスになっているようだ。
それはちょうど、アメリカ人にあずきを出すと、え?なんでこれ豆なのに甘いわけ?変じゃね?と言われて、アメリカでアンコが流行らないのに似ている。
多分この先も、Hummusが日本のスーパーに並ぶ日はしばらく来ない気がする。来たら多分同時にアメリカのスーパーにアンコが並んでるはず。
親戚だけど、遠くて会ったことないし。みたいな・・・。
ひさびさに食べたHummusは、懐かしくておいしかった。日本人にはあんまり美味しくないかも。でもぜひ作ってみてください。
• チックピー Chick Pea(ひよこ豆)←しっかり煮て、皮をとると滑らかになる、とらないままでもOK 缶詰だとちょっと追加で煮たほうがいいらしい
• タヒニTahini(ねりごまだけど、日本のねりごまと同質かは謎 ちょっと味が違う気がするけどねりごまで代用できると思う)
• オリーブオイル
• レモン汁
• にんにく(わたしは生が苦手なのですこし火にかけたものを使った)
• 塩こしょう
• クミン
<分量がわからないので参考サイトより>
- ひよこ豆 約400g
- 重曹 小さじ½ (皮をかんたんに剥くため)
- レモン汁 約60ml
- ニンニク 1かけら
- 塩 小さじ½
- タヒニ(ねりごま)約120ml
- 水 大さじ2 〜4(調整しながら)
- クミン 小さじ½
- オリーブオイル 大さじ1
<INGREDIENTS>
1 can (15 ounces) chickpeas, rinsed and drained, or 1 ½ cups cooked chickpeas
½ teaspoon baking soda (if you’re using canned chickpeas)
¼ cup lemon juice (from 1 ½ to 2 lemons), more to taste
1 medium-to-large clove garlic, roughly chopped
½ teaspoon fine sea salt, to taste
½ cup tahini
2 to 4 tablespoons ice water, more as needed
½ teaspoon ground cumin
1 tablespoon extra-virgin olive oil
Any of the following garnishes: drizzle of olive oil or zhoug sauce, sprinkle of ground sumac or paprika, chopped fresh parsley
これをフードプロセッサーまたはミキサーで滑らかになるまでガーッとやる。
上に、オリーブオイルとパプリカの粉をわしゃっと振ってパセリを散らすと、本物っぽい。
冷蔵庫にピーナツバターとHummusが入ってれば、あなたもわたしもアメリカ人。