あと何回朝を迎えて
あと何回月の光を浴びて
あと何回美しいと思う瞬間に出会えて
あと何回美しいものに触れて
あと何回いのちと触れ合い
あと何回デザインを世の中にリリースできるんだろう。
20年以上のつきあいの、古い友人の投稿。
わたしの台所にかかる、黄色のエプロンは、彼女がわたしの身幅を採寸し、デザインし、彼女自身の手で縫って刺繍をしてくれたもの。
その洋服への愛は、10代のときから変わっていなくて、わたしがなんの気なしにお願いして、映画の主人公と同じ衣装を作って欲しいと言ったときにも、採寸してオーダーメイドで作ってくれたことがある。それが実は一番最初のオーダーメイドで作ったやつになったと確か言っていた。
デザイナーの舞台裏を、ずっとずっと見てきて
その果てしない旅のことや、第一線で活躍するひとたちの苦悩
どろどろの全部もひっくるめて
なんて、美しい旅かなといつも思う。
あと何回美しいと思う瞬間に出会えるんだろう
本当にそうだよ。
あと何回、愛するひとを抱いて
その指を握って
愛してるよとささやくことが、できるんだろう?
人生なんて、一個一個その手で大切に触れなければ
あっという間に過ぎ去ってしまう
彼女の生み出した洋服は、彼女が死んだあとも絶対に後世に残って受け継がれてたくさんの人の目に触れてゆくんだ。
どれほど尊いことか。
そしてそんな彼女と縁ある人生をいただいたわたしもまた、幸運。
大切にしよう。