その手を
つないでは離して
つないでは離して
会えた時も
会えなかった時間も
そして、心の底から、あなたに幸せでいてほしいって
わたしはそう思ったんだった。
不安で声を震わせるわたしに
「こっちおいで」と呼びかけて
抱き上げて
もう、この人はいなくならないんだとそう感じた
そして何度も思った
わたしも、あなたも
もう十分すぎるくらいに、苦しんだから
本当に彼が、どのくらい苦しんできたかをわたしは
誰よりもよく知っているから
だからもう二度と
苦しめないと
ただ穏やかで
幸せで
憂いの無い場所で
ささやかな話をしていたいと
そう思ったから
生きることが驚くほどに煌めいて
驚くほどにシンプルで
驚くほどに簡単だったってことを
わたしはその6分のでんわ越しの優しい声の向こうに、やっと確かめたんだ。
もう、何も怖くない。
どんな悲しいことも、その人生の上では、美しい。