水の中に入ると、ゆらゆらと、ちらちらと、水の中に差し込む光のおどりのことを、ずっと延々と眺めていたくなる。
堂々と、はだかみたいな格好でウロウロしていても、誰も変な目でみないし、堂々と、裸足で歩いていても、誰も変な目でみないし、あしをばたばたさせたり、どんぐりみたいに縮こまって水に浮かんでいても
誰も変な人だって言われない。
その場所は、わたしの身体を本来の状態に戻してくれる。
何度も何度も息が止まりかけた長い時間のあとで、息を吸って吐くことがどういうことだったを思い出せる場所
歪んだ右足や、腰の位置や、肺のどちらが重たいか
水の中だと不思議と全部わかる。
わたしには、目に見えないものを感じとる力が強いかわりに
自分の身体を感じる力がとても弱い。
それを、思い出させてもらえるのが、大好きな人がわたしの身体を抱きしめるときや、水の中でぶくぶくと息を吸って吐いて、頭のてっぺんから足の先まで潜るときなんだ。
息を吐いて吸うって、すごいこと
声が出るって
すごいこと
生きてるって、すごいこと
光と水があれば、わたしの命はこんなふうに、息を吹きかえすんだ。
ゆらゆらと水の中に光が差し込んで、まっすぐな光の線の底に
まあるい輪が重なるみたいにして動いてる
その真ん中を通ると、天国にきたみたいな気持ちになる
なにかがひとつになるって
素敵なことだよ
今は、一生懸命
バラバラな心たちが
一丸となって進むことをただ毎日祈ってる
いつどんなときもそれは
ひとつであってほしい
それぞれが絶対な自由や、権利や、自分へもつ愛を
本当の意味で確かに感じられていなければ
成り得ない
ひとつのこと
みんな、ひとつになあれ
水の中みたいに
この絵は、いつかむかし水族館にいった後に描いた。
暗く狭い水槽の中でとても苦しそうに泳いでる魚たちが
とても不憫で、マーメイドの歌みたいにいつか
大きな川に出ることを想像したら
こんな光に満ちた、自由な水の中になった。
わたしは淡水魚が好き。海は、塩辛いし、なんか大きすぎて怖いから。
でも川は、しなやかで、淵がちゃんと見えて、きらきらと命の源からいろんなものを運んでくれる路のような感じで怖くない。
河童のクゥが、川で泳ぐのを見ると
自分のことみたいにいつも嬉しくなる。
わたしの前世は、河童かリトルマーメイドか淡水魚。
水の神様に守られてるわたしにはいつも、きっと
水が大事なんだ。