たおくんが、206で暮らしたい、と言った。
もともと、自分の希望をはっきり伝えたり、ほんとうのことをきちんと言うのが苦手なたおくんは、いつも黙って我慢したり、曖昧に流したり、それとなく周りに合わせるくせがついていた。
でもそれだと、今、2人でがんばって生活してみよう、とスタートしたときに
ママの助けがしたくても、難しくなるから、一個一個本当のことを言う練習をしてたところだった。
これまでも、ずっと1人で
ママのサポートをいつどんなときもがんばってきたたおくん。
まだ小学校にもならない今も、もっとずっと小さかったときも
本当に、どんな瞬間も、ただママを支えるために、必死でやってきた。
あまりに酷な状況でも、ママと一緒にいることだけは諦めずにきたたおくんが、ほんとうに疲れ果てて、自分のことばで、
「ママじゃなく、おばあちゃんちで暮らすことを選択した」瞬間だった。
たったひとりだけ、決して失うことはないだろうと思ってきた
たおくんが、いなくなって
わたしの目の前は真っ暗になったけど
ゆきちゃんをはじめとするみんなが、
「大丈夫」と支えてくれて、ぎりぎり自分を見失わずにいられる時間。
今までとは違う、不思議な感覚がした。
たおくんは、最後まで、ママが大好きで、愛してるとそう言った。
きっとわたしもそうで、
わたしたちは、一緒にいたかった。
こんなふうに、大事におもいあっている2人が、
離れ離れになるんだ。
それがたまらなく悲しいけど、今は、前を向こうと思う。