おぼつかない絵を描いていたわたしに
初めて
「自分のために絵を描いてほしい」と
依頼してくれた女性がいた。
ある意味で、わたしの絵にいのちを吹き込んだ人だった。
彼女が2日前に亡くなったと今日、連絡をもらった時
わたしの横には、おおきな段ボールの箱に詰まった自分の描いた絵を、ひとに見せるために運ぶところだった。
明るくて、芯が強く、気丈で、そして
柔らかくなりたがっていた彼女の色を
いつかわたしは塗った。
まだ、その息吹がこの世界から天国にのぼったことが信じられないくらいに
いのちは、永遠じゃない
ひとは、死ぬ
そう思った
それは突然こうして、幕を閉じることがあるから
だからわたしたちは
後悔のないように
毎日必死にならないといけないんだよ。
あのとき、彼女からのLINEのSOSに
わたしはもうすこし、違うふうに応えられたかもしれない。
あのとき、もし彼女に会いにいっていたら、結末は変わっていたんだろうか?
なにかを後から考えても、その時間は二度と、戻らなかった。
わたしの手元には、強く、生きようとしていた彼女の笑顔と、
最後まで大切にしてくれた
わたしが描いた
ピンクの輪が残った。
わたしたちが、自分として生きる以外に、言い訳して足踏みしてる時間なんて、1秒だって残されてない。
ほんとうにそう思う。
ゆきさん、出会ってくれてありがとう
ゆっくり休んでね